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2017年12月 「加減リンク」
加減リンクはレーザー加工を使わず、平鋼から削り出して作った。外形加工、溝加工ともに、大半径の弧を削り出す必要がある。
加減リンクの正面図と側面図を示す。加減リンクは3枚の部品を重ね合わせた構造で、中央の部品の左右の隙間に、心向き棒の後端フォーク部分が貫通するようになっている。中央の部品の内部には、心向き棒と接続するためのダイが摺動する溝が切ってあり、溝の半径は約180mm。全体の形状は、前端(内周側)より後端(外周側)の方が半径が小さく、前者が約240mm、後者が約140mmである。
手持ちのロータリーテーブルでは半径75mmまでしか削れないので、100×9mmの平鋼を2枚重ねたものでステージを延長した。加減リンクはM2.6のネジで組み立てるが、各材料に2.5mmの穴を開け、この穴を基準にして加工位置を出した。ステージにも穴を開けてピンを立てる。
3枚の部品は機械加工の前に、バンドソーとヤスリで肉削ぎをしておく。さらに2.5mmの固定穴、外側部品の丸窓、中央部品の溝を切るための連続穴を開ける。穴の位置は、フライスのステージ座標で出した。
まず、最も半径の大きい内周側から削った。材料は、ピンで位置決めして、M6のボルトで固定した。エンドミルの刃先を逃げるため、1mmのアルミ板を下敷きにしている。そのままだと切削が不安定だったので、延長ステージとフライス盤ステージの間にブロックをかまして振動防止とした。さらにテーブルの回転方向にも振動が出たので、回転テーブルに半ブレーキを掛けた状態で回した。
続いて、最も半径の小さい外周側を削る。加工物の取り付け位置の違いに注目。
直線部分は、加減リンクの回転軸を中心とする極座標で位置を出して加工した。写真はそのためのセッティングである。
大まかな外形加工を済ませてから、中央部品の溝を仕上げる。加工歪みの影響をなくすためである。穴が狭くて深いので、6mmのロングエンドミルで仕上げた。
外形のアール部分は、ステージを使わず、ロータリーテーブルで1か所ずつ仕上げた。
溝の中を摺動するダイも、ここで作っておく。リン青銅の丸棒から切り出し、溝と同じ半径に仕上げる。固定の都合もあって左右の2個分を一度に削り、糸鋸で切り離して仕上げた。
外側の部品の厚さ方向の加工をする。まず、内側の中央部を削り、反転して外側の両端部を削る。
外側段差のアール部分は、ロータリーテーブルを用いて加工した。
加減リンクの回転軸は、鋼丸棒を段差加工したもの。外側の部品に銀ロウ付けする。
仮組みした加減リンク。頂部と底部には、ダミーの油壺フタを取り付ける。
加減リンク受けへの組み込みは、写真のような手順になる。まず外側の部品だけをそれぞれ内側から軸穴に入れ、その後に中央の部品を間に挿入して固定する。なお加減リンク受けの軸穴には、リン青銅製のブッシュを入れている。ブッシュはロックタイトで接着した。
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