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2023年3月 「ダミー火室」
実機のボイラーはボイラー覆いで囲われているが、火室の下部のみ露出しており、特にC53は他の形式と比較して露出範囲が広い。製作したボイラーは実機のスケールよりサイズが小さいので、火室の外を覆うダミーの火室が必要となる。構造的にはボイラーの外火室下部と全く同じであり、ボイラーと同様に、銅板のフランジ加工を行った。
ボイラーのような強度は不要なので、材料は厚さ2mmの銅板とした。左右側板と、喉板、後板を切り出す。リベットは側板のみ表現する。2.5mmの銅リベットを使うため、2.6mmの穴を開けた。
喉板をフランジ加工するための木型を用意した。材料は、ボイラーのフランジ加工でも用いた、ハードメイプルである。後板についても、この木型を利用して加工する。
喉板、後板をバーナーで焼鈍して表裏の木型で挟み、ハンマーで叩いてフランジを形成する。喉板は2回の焼鈍で、後板は1回の焼鈍で加工が終了した。
側板と喉板、後板を接続するための穴を移し開ける。最終的には銅リベットで組み立てるが、とりあえずビス&ナットで仮組みした。
ダミー火室をボイラーの火室に取り付けて、主台枠に載せた状態。ダミー火室は前後のアルミ支柱にボルトで固定される。
火室右側にボイラー排水口があり、この穴位置をダミー火室側板に写し取るため、ボイラーから逆向きにマーキングするためのセンターを用意した。排水口ブッシュにねじ込んでダミー火室を取り付け、外からハンマーで軽く叩くことで、側板の裏面にマーキングを入れた。
マーキングを頼りに、ホールソーで側板に穴を開ける。
ボイラー排水口からダミー側板までの隙間を埋めるため、かさ上げブッシュを作成して取り付けた。
ダミーの側板を取り付けると、ブッシュが穴から露出した状態になる。ここに排水弁が取り付けられることになる。
銅リベットは装飾として取り付けるので、ハンマリングでヘッドが潰れては困る。ヘッド形状のくぼみを有するアンビルを用意した。
アンビルにヘッド形状の半球のくぼみを掘るために、専用のボーリングバーを作成した。材料はSK4で、焼き入れ、焼き戻しして刃先を研いだ。
机上にアンビルを立ててここにリベットのヘッドを入れ、反対側をハンマーで潰してリベットを固定していく。左が作業前のセットアップで、右が作業中の状態。
実機の火室の側板には洗口栓がねじ込まれている。これを表現するため、真鍮で洗口栓を作り、ダミーの側板にねじ込んで、裏をロックナットで固定した。
側板と喉板、後板も、銅リベットで永久固定した。喉板の下部を切り取っているが、ボイラーの火室との干渉を避けるためである。後部については、ダミーの後板と、ボイラーの外火室後板の間に隙間があり、これを埋めるために後板の中央部を鋼製のフラットバーに換装した。これでダミー火室が完成。
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