2005年1月 「板金工作(3)」
ついに7年目に突入してしまった。3インチ半の入門機の製作期間としてはあまりにも長すぎる。今年こそは必ず完成させたい。ただし、最終章で手を抜いてしまうという私の悪い癖を発動させてはならない。
キャブ前板とボイラー覆いの接触部をすき間なく仕上げることは難しい。前板を切り出す前に型紙を作ってすき間を確認した。前板上部の曲線は、屋根からトレースして仕上げれば良い。
それでも、すき間を完全になくすことができず、ボイラーバンドを追加して隠した。バンドの両端はボイラー本体ではなく下まわりに固定した。左側は台枠にネジ止めし、右側はランボードにネジ穴を開けてネジでテンションを調節できるようにした。調整後に下からナットでロックする。
前板の窓にはアクリル板を入れる。前板と同じ1.5mm厚さのものを糸ノコとヤスリで小判型に仕上げてはめ込み、前後から窓枠でおさえて固定する。窓枠は真鍮板を重ねて4枚切り出し、形の良い2枚を表側に使った。組み合わせと方向が決まったら、2枚重ねて固定穴を開け、そのうち1枚を使って前板に穴を移し開ける。固定には動輪舎のM1.4精密ボルトを使用した。
運転時にサイドタンクの水が前後に揺さぶられると、後端部の水面計から水があふれ出ることになる。そこでタンク側板にアルミのアングルを付け、ここで水の動きをさえぎることにした。アングルの周囲にはすきまがあって、水は自由に通過できるようになっている。
タンク内側は外から見えないので、M2の真鍮皿ビスを用いて組み立てた。これは分解可能にするというよりむしろ、穴位置を決めるのにアングルを都度はずした方が都合が良いからである。最終的にはバスコークを塗って組み立てる。写真は、底板の取り付け穴をアングルに移し開けているところ。
左側サイドタンクの後端には、リーチロッドとの干渉を避けるための切り欠きを入れた。真鍮角棒をスペーサーとして内側板に段差を設け、これに合わせて底板とキャブ前板を切り取る。固定用アングルもここで分断し、段差の分だけずらして固定する。
サイドタンクのマンホールは真鍮丸棒を旋削して作り、裏からハンダ付けした(高温強力ハンダを使用)。フタは穴に落とし込むだけ。振動で飛んでしまわないように、なるだけ厚くして重量をかせいだ。取っ手は真鍮線を曲げて作ったもので、先にこれを曲げてから、フタの穴位置を決める。
屋根の裏には、補強材として1.5mm厚の真鍮帯板を貼り付けた。ここも銅リベットで固定する。このうちの一部は、切り欠き部の塞ぎ板を固定するための足場となる。横方向の補強材は、曲げロールで屋根と同じ半径に曲げてから使った。
サイドタンクには空気抜きの穴が必要である。これをキャブの中に隠すため、写真のように銅管でエルボを作って取り付けた。銅管にねじを切って、ロックナットで固定する。エルボの先端はサイドタンクの天板より高い位置にする必要がある。
サイドタンクの水は、10mmの真鍮パイプを通ってキャブ後部の真鍮ブロックに接続される。真鍮パイプに正方形のフランジを銀ロウ付けし、キャブ前板にネジ止めする。フランジのシール面とパイプを直角にするため、銀ロウ付け後に挿入側を旋削して矯正した。タンク内に突きだしたパイプの先端には、フィルターとして真鍮のメッシュをかぶせた。
キャブ入り口両側にハンドレールを取り付けた。煙室に付けたものと同じ支柱、線材を用いた。ただしこちらは塗装するので、メッキをはがして使用した。支柱は上下のうち片方を圧入、片方を自由穴とした。
組み上がった上まわり。内側板とキャブ内部は組み立て後の塗装がやりにくいので、そこだけ塗装・焼付けして組み立てた。他はこれからまとめて塗装するが、その前に内部に水を張ってみて、水漏れがないことを確認する。なお、サイドタンク側面とキャブ側面の小さな穴は、ナンバープレート類を取り付けるための穴である。
【おまけ】
最初で最後?の国産旅客機、YS−11である。少年時代はこれがいつも頭上を飛んでいた。昔、一度だけ乗ったことがある。もうすぐ無くなると聞き、帰省を利用して乗りに行った(徳島〜福岡)。ノスタルジアは飛行機嫌いに勝る! 降下前に、「悪天候のため激しい揺れが予想されますが飛行に支障はありませんのでご安心ください、気分の悪い方はお座席ポケットの袋を早めにご用意ください」などという機内アナウンスがあり、恐かった。
(終)