1998年12月 「忘年会」
岡山のライブスチーム愛好者の忘年会に参加。
平岡幸三著「生きた蒸気機関車を作ろう」の"PENNSYLVANIA"を全自作で作った中原氏の話を聞く(写真)。
圧力計まで自作したとは驚き。この人は、全く経験のない状態から、本を頼りに自作を始めて、
2年余りで完成させたらしい。
実機を前に話を聞いたが、出来ばえも見事だった。
感心すると同時に、自分もやればできそうな気がしてきた。
他に、5インチボイラーを完全自作した(日本で数名?)廣瀬氏の話も聞く。
この人は「とれいん」に出ていたので、顔を知っていた。
"一本松"の開設に少なからず貢献した人らしい。
ボイラーの製作は難しいという話を聞いた。
銅板を切り出し、焼き鈍し、板金し、機械加工して部品を作り、銀ロウ付けで組み立てる。
特に難しいのが銀ロウ付けで、完成に近づくほど難しくなる。
さらに銀ロウ付けは、ハンダ付けと違って、やり直しがきかない。
半年くらいかけて作ってきたボイラーを、最後の銀ロウ付けで失敗してオシャカにしてしまうということが、よくあるらしい。
それでもめげない根性がないと、ボイラーは作れないとのこと。
【どういう形でライブスチームを始めるか?】
(1)完成品を入手する
中古の出物があればラッキーだが、中古は調整が必要なことが多いらしい。(2)キットを組み立てる
人の乗れるライブスチームのメーカーとしては、以下の2社が代表的部品は100%加工、塗装済みで、ドライバーだけで組める。
慣れれば2週間くらいで組めるらしい。
精度、バリエーションとも、入門用として申し分ない。
ラジコンキットのイメージに近い。費用は40〜300万程度。技功舎:
部品は機械加工のみ済んでおり、穴開け加工と調整が必要で、やや難しい。
頒布制で、月1回くらいで部品を買っていき、1〜3年で組み上がるが、
部品待ちの時間が長くなる。実物にこだわった設計が特徴。費用は毎月10〜20万程度。
ライブスチームのメーカーは、他にセントラル鉄道、動輪舎、ワダワークス、ろく工房、マクセス、タキセ製作所、モデルニクス、夢蒸気などがある。
趣味が高じて会社を作ってしまったというケースが多いらしいが、これだけで食っていくのは難しいとも聞く。
(3)自作する
英国では自作が主流らしい。蒸気機関車発祥の地らしく、ライブ人口も多い。
参考書、設計図などが多数出版されており、動輪、シリンダーなどは鋳物を買って加工し、
他は金属材料を揃えて自作する。ボイラーは製作委託も可能。
設計者としては、LBSC、Martin Evansなどが有名。鋳物メーカーではREEVESが有名。
しかしいずれも日本では手に入りにくく、個人輸入ができないと厳しい。
鋳物を含めても部品代は20万かからないが、工作機械を初めとする工具を揃える必要があり、
キットを買うくらいの初期投資(100万程度)が必要。
また、工作時間は1000時間以上必要で、完成まで少なくとも2、3年は耐える覚悟をしないといけない。
製作には専門知識と技量が必要で、英国でも5人中4人は挫折するらしい(日本人は根性あるのでOK?)。
これらの"挫折機"が中古市場に流れており(日本にも入っているらしい)要注意だとか。
いずれにせよ金は掛かり、まずは資金調達が必要。
いろいろ悩んだあげく、工作好きの自分としては、遅かれ早かれ(3)になるだろうから、投資額を抑えるためにも、
いきなり(3)から始めることにした。
【ライブスチームは金が掛かる?】
そんなに掛からない、という人がいる。
初期投資は大きいが、始めれば製作に時間が掛かるし、機関車は10年以上の耐久性はあり、月単位で割り振れば、充分こづかいの範囲に収まる。ゴルフなどと比べるとずっと安上がりである、という理屈。
これに従えば、借金してでも始められることになるが、最初にまとまった金を用意しておく方が無難だろう。
車の買い換えや家の増改築などの、比較的大きな投資のタイミングを狙い、資金の一部を流用するのも手である。
金の心配のない人は、数百坪の土地を手に入れて運転場を作って下さい。
ちなみに機関車の運搬のことを考えると、買い換える車はワゴンが良いでしょう。