目次 / 前月
2017年10月 「加減弁改造」
8月に、JGR(日本庭園鉄道)のゲスト運転会で、ハンスレットを運転させたもらったが、運転4回目にして、大トラブルが発生した。ハンスレットの加減弁は、ネジによるニードル開閉式だが、走行途中でネジの動きが徐々に固くなり、最後はかじりついたような状態で操作困難になり、やむなく運転を断念した。軸が傾いたか、Oリングが固着したと思われる。加減弁は、そう簡単に取り外せる構造ではないので、現地での修理はあきらめて、そのまま撤収した。
ボイラーの断面図を示す。加減弁はバックヘッド後方から入れて、グランドをボイラーのブッシュにねじ止めしているが、ドームに向けて蒸気を取り込むパイプが立ちあがっており、ドームを外してこれを取らないと、抜き取ることができない。前はパイプを貫通させてOリングでシールしているだけなので、そのまま内側に抜き取ることができるが、組み込むときには煙室の配管も組み直さなければならない。
加減弁およびボイラーの組み立ては、こちらを参照のこと →
「2012年4月」
蒸気室の配管、バルブ類、安全弁を取り外し、蒸気ドームを取り去り、蒸気管を外してから加減弁を抜き取る。
加減弁を分解したが、弁を緩める方向に少しずつ回すと、弁が抜ける直前に急に軽くなり、その後は再挿入しても奥まで軽く回るようになった。ネジ部分に湯垢が堆積して噛み込んだと思われるが、それほど汚れてはいなかった。念のため、ネジ部にタップとダイスを通し直した。
ボイラーの内部なのでグリスアップするわけにもいかず、また再発する可能性がある。今の加減弁の構造だと、そのたびに大分解となるので、本体を外さずにニードル弁だけ抜き取れるような構造に改造することにした。
改造前後の断面図を示す。元々は、本体(緑)とグランド(水色)が別部品で、その間にニードル弁(ピンク)を閉じ込めるようになっている。そして操作軸は、グランドとプラグ(灰)の間のOリングでシールされている。改造は、まず本体とグランドを銀ロウ付けで接合し(緑+水色)、後方から穴を拡大して、ニードル弁を通せるようにする。そしてプラグを二重構造にして、その間にOリングを入れて軸をシールする。内側のプラグ(黄)は新製、外側のプラグ(灰)は既存のものを流用した。
改造した加減弁を組み上げた状態。Oリングを挟む二重のプラグは、いずれも平径16mmの六角棒から作られている。
加減弁を取り付けるには、煙室の前から棒を入れて、銅管の先端を導かなければならない。ということで煙室内の配管も分解した。吐出管も邪魔になるのでナットを緩めて倒した。この状態で加減弁を組み込み、再び煙室を組み立てた。
もう一点、改造をした。サドルタンク水面計のアクリルパイプをシールするため、Oリングを入れた。真鍮の台座側に、Oリングを入れる溝加工をする。Oリングは、S15という細めのタイプを使用した。
ここは当初、ロックタイト510でシールしていたが、アクリルパイプが二度も割れてしまった。ぶつけた覚えがないので不審に思っていたが、後になって、ロックタイトがアクリルを腐食していたことが分かった。その後はビニールテープを巻いてシールしていたが、水が漏れるので、Oリングを入れた次第である。
目次 / 前月