2005年4月 「ディテール工作(3)」


フロントデッキのステップは、二段の踏み板が柱に固定されたタイプにした。強度をかせぐため、柱は鋼アングル製とした。踏み板は、ランボードに用いた真鍮網目板である。真鍮アングルを介して柱にリベット止めし、銀ロウ付けした。なお、鋼アングルと真鍮アングルは、いずれもエンドミルで直角を矯正してから使用した。
前ステップ部品前ステップ完成


カプラー解放テコ
カプラー解放テコは2mmのステンレス線を曲げたものである。曲げ位置をけがいて万力にチャックし、木片を押し付けて曲げた。左右対称に仕上げるため、中央部からスタートして左右を均等に曲げていった。端部の輪は、細い丸棒に巻き付けるようにして曲げた。ひととおり曲げたあとに、曲げの角度を微調整して、垂直、平行を正確に出した。



解放テコの支柱は、平鋼を加工して作った。途中で90度のひねりが入る。材料を焼きなまして2台の万力にはさみ、エイヤとひねって整形した。
解放テコ受け解放テコ受けの整形


解放テコの接続
解放テコとカプラーは、写真のように連結した。上の輪は、真鍮丸棒を小判型に曲げて、継ぎ目に高温ハンダを流したもの。下のU字の部品は、真鍮丸棒をU字に曲げて切断し、両端をハンマーでたたいてつぶし、ネジ穴を開けたもの。M1.4のネジで解放ピンと連結した。



フロントデッキにはポールを立てた。S45C丸棒をテーパーに旋削して作ったが、根もとの六角部分だけは、六角棒を利用してフライス盤でインデクス加工をした。ポール先端の球部分をきれいに削り出すのは難しいので、真鍮の球に穴をあけてロックタイトで接着した。
ポールの六角加工ポール完成


フロントまわり組み立て
各部品に焼付塗装をして組み立てた状態。機関車の後部にはこういうディテールを一切設けていない。後部はあくまで運転本意であり、機関車単独で展示することは考慮していない。


放熱管曲げ治具
空制化となると、放熱管も必要である。ランボード下のエアタンク(汽笛)の後ろにスペースがあるのでここに設置することにした。材料の在庫の都合で、直径3.2mmの鋼丸棒を使ったが、銅管を使う方が簡単であることは言うまでもない。ヘアピンコーナーを曲げるのに、写真のような治具を用意した。曲げ位置を焼きなまして治具にセットし、木の角材を押しつけて折り曲げた。


帯板の曲げ治具
放熱管は、波状に整形された帯板で固定される。帯板は3.2*0.5mmの真鍮材で、英国から手配したボイラバンド用材料である。これも治具を作って曲げた。写真のように、ピンを1本ずつ追加しながら、ピンに巻き付けるように順次曲げていき、波形を形成する。帯板の端をヤットコではさんで、引っぱりながら巻きつけると、きれいに曲げられる。



帯板は放熱管をはさんでリベットで固定するのだが、リベットを通す穴の位置決めが難しい。そこで、ガイド穴付きの真鍮角棒を治具に取り付け、これで表裏まとめて穴を開けた。
帯板の穴開け治具放熱管支え完成


放熱管組み立て
1.2mmの真鍮リベットを用いて、放熱管を組み立てた状態。リベットのヘッドは奥まった位置にあるので、ヘッドと同じ直径の丸棒の先端に皿モミを入れ、これをアンビルとしてリベットをつぶした。


放熱管の接続
ランボードの裏から見た状態。帯板の裏には、直角に曲げた真鍮角棒がまとめてリベット止めされており、これが取り付けスタンドとなる。エアタンクと放熱管は、コンプレッサの時と同じ方法で作製したエルボで接続した。位置決めをしてから、配管接続部と帯板にハンダを流して固定した。


(終)


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