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2007年8月 「棒台枠完成」



写真は後台枠に取り付ける鋳物部品で、左から従台車釣合梁受、従台車バネ守、バネ釣受である。左のふたつは、鋳造時に中子を使って全体形状を表現している。バネ釣受は、角穴を中子で開けるつもりだったが、小さすぎて中子が取れなかった。加工で角穴を開ける必要がある。



まず従台車釣合梁受から。裏面の固定面を仕上げ、スリット内部の前後面をエンドミルでクリーニングする。ここでボルト面からの距離も正確に出しておく。
クリーニングだけなのですぐに終えることができた。



固定穴は9個あるが、そのうち中央の1個だけ開けて後台枠に固定し、角度を合わせてクランプし、残りの8個の穴を移し開けた。M4のボルトで後台枠に固定するが、9本のうち6本は「後台枠強め鋳物」の固定を兼ねている。



続いて従台車バネ守を加工する。写真のようなセットアップで、取り付け面と、板バネ摺動面とを同時に加工した。前後にはさんだ平鋼は、加工中に鋳物が動くのを防止するためのものである。



ディテールとして、鋳物の上部に、真鍮丸棒から作製した油壷を取り付けた。さらに前部に、滑り板取り付けボルト(M2.6)を付けた。いずれもダミーで、前部の滑り板そのものは省略している。



実機では、この鋳物の固定に「打ち込みボルト」が使われている。皿ボルトのようなものだがヘッドのテーパーが60度ときつく、鋳物の表からボルトを通して、ヘッドを皿穴に打ち込んで固定し、裏をナットで固定している。いずれにせよ通常のボルトではヘッドが入らないので、六角穴付き皿ボルトを追加工して先端を60度にした。写真左が加工後のボルト。



鋳物側の穴をこれに合わせて加工するため、SK4丸棒からカッターを作った。焼き入れはガスバーナーでやったが、焼き戻しには電気炉を使ってみた。230度まで加熱したら直ちに取り出して冷やす。色で判断するより簡単確実で、電気炉の意外な使い道が見つかったという次第である。
ちなみに、通常の皿ネジよりヘッドが小さい「アルミサッシ用皿ネジ」というのがあるが、プラスネジというところが気に入らず、使わなかった。



バネ守のすぐ下に取り付けられたプレートは、背面側の滑り板である。表は板バネ、裏は従台車輪と干渉するので、どちらにもボルトの突出が許されない。後台枠の裏から皿ボルトを入れてプレートのネジ穴にねじ込み、ヤスリでツライチに仕上げた。



バネ釣受はイコライザーの後端を保持する鋳物である。角穴開けは、まず四隅に3ミリのドリル穴を開け、肉そぎのため中央に5ミリの穴も開け、最後はエンドミルで仕上げた。



後台枠に取り付けた状態。スケールどおりだと2.5ミリのリベットで固定ということになるが、ここでは動輪舎のM3六角ボルトで固定した。



後台枠鋳物の加工前写真。実物は天板も一体の鋳物だが、鋳物の中を空洞にするのは大変なので、天板はレーザーカットで表現した。鋳物の中央の横穴は、ドローバー(連結器)を接続する穴である。ここは中子で形成した。



まず底面を仕上げ、これを基準に背面と両側面を仕上げた。横幅は、仮組みに使っていた真鍮丸棒をゲージとして、これと同じ長さに仕上げた。



写真は加工後の状態。天板には、鋳物にネジ止めするための6本のスタッドを立て、鋳物側の対向する位置には、高さをそろえるためにエンドミルで座繰りを入れた。鋳物の中央裏面には、従台車復元装置取り付け用のベースプレート(レーザーカット)を取り付けた。ドローバーピンの穴はテンダー設計後に開ける。背面中央には、中間緩衝器受を取り付けた(写真右)。




主台枠と後台枠を再び接続。以前と同じ方法で、後台枠の高さと左右の対称性を再確認した。そして後台枠鋳物に取り付け穴を移し開けて、後台枠に取り付ける。片側12本のボルトで接続されるが、上段最前列の1本は鋳物からはみだしそうだったので、穴を貫通してナットで固定した。それ以外は鋳物にタップを立てて固定した。



ここで前台枠鋳物の追加工を実施。前端梁と底板(実機では鋳物の一部)、そして排障器を取り付けた。いずれもレーザーカットである。前端梁の固定は、プロトタイプどおり、裏からボルトを通して、表をナットで固定した。排障器は、焼きなまして直角に折り曲げ、高さ調整用のスペーサーを介して、底板に取り付けた。ちなみにプロトタイプでは、後端梁は取り付けられていない。



棒台枠全体が完成。組み立てには六角ボルトを使用しているが、実機よりヘッドのサイズが大きい。スケールどおりだとM3を使うのが適当なのだが、強度に不安があるのでM4を使った、それが原因である。M4の小径六角ボルトがあれば使いたいものだが、どこを探しても売っていない。追加工でヘッドを小さくする手もあるが、約200本も必要なので、その気になれないのである。


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