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2017年7月 「先台車改造(2)」
4月に予告した、先台車復元装置の改造が完了したので、今月はこれを紹介したい。
写真は、現状のバネ式復元装置で、ここから最小限の変更でエコノミー式に改造する。現状のボルスターが摺動するポケットは浅すぎるので、底板を下に移動してスペースを確保する。
エコノミー式復元装置の図面。ピンク色の部品が揺駒である。まず、これから作る。
揺駒の肩の形状は、反対側の軸足を中心とする円弧になっている。これを削り出すため、足の軸位置に穴を開け、それを中心としてロータリーテーブルで削った。写真は、加工後にクランプを外した状態。その後、穴を半円に切り取り、円柱を銀ロウ付けして足とする。
両端の搖動部を、丸棒の胴で接続する。丸棒の途中から、ボルスターに接続するためのリンク腕が出ている。丸棒が偏って付いているのは、先台車の中心軸との干渉を避けるため。いずれの部品も、ネジで仮固定して銀ロウ付けで接合した。
揺駒が収まる台座は、リン青銅丸棒を加工して作った。四爪チャックで6面取りをして直方体にしてから、足が収まる窪みを掘る。窪みはドリルで穴を開けたものを切り取って半円にする。
完成した台座を、底板に取り付ける。底板は、スタッド8本により下に延長して取り付けられる。
ボルスターはサイズが異なるので作り直す。砲金製の鋳物から加工する。例によって、モデラで木型を作って鋳造を依頼した。
前後の側面を削り出し、頂部に穴開けと座繰り加工をする。
下の斜面は1:5であり、メインロッドのクサビに使った角度ゲージがここでも活用できる。写真のようにゲージで角度を決めてチャックする。
エンドミルの側面削りで斜面を削り出す。斜面は4面がW型になっており、同じ角度の2面をここで削る。
リンクを接続する穴を開けて、ボルスターが完成。
ボルスターと揺駒を、リンクとピンで接続する。ボルスター側のピンはEリング固定、揺駒側のピンはねじ込み固定とした
台座、揺駒、ボルスターを積み上げると、このようになる。
改造が完了した先台車。揺駒の上下摺動部にグリスを塗って組み上げた。ボルスターの浮き上がりを制限するため、溝の前後に押さえ板を取り付けている。
センターピンは、車体から下に伸ばす構造としていたが(写真上)、これだと先台車取付時に車体を大きく持ち上げなければならず、かえって不便なので、下から長ボルトで固定するタイプ(写真下)に変更した。六角棒からの削り出しではなく、丸棒と六角ヘッドの銀ロウ付けである。
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