2017年6月 「内側メインロッド」
C53の内側メインロッドは、ほとんど見えない部品ながら、形式を象徴する部品である。梅小路のC5345では、フルートに朱入れまでされている(写真)。現役時代どうだったかわからないが、見せる部品として、外側ロッドと同様の仕上げをすることにした。
SS400のレーザーカット品から加工する。下が内側メインロッドの部品である。
ロッド後端は車軸の中央に連結されるので、分割できる構造になっている。2分割のブッシュを、後方からコの字の部材で包んで、前方でロッドにねじ止めするようになっている。
ロッド本体は、外側メインロッドと同様の加工をする。側面を加工するための治具は、外側メインロッド用の治具に追加工をして使用した。同じ治具でフルートも切る。両側から見えるので両面に切った。ビッグエンドの周囲3面は、精度が必要なので、エンドミルで仕上げる。
コの字の部品は矩形から切り出すが、まず矩形の状態で周囲を回転砥石で研磨し、さらに四爪チャックで表面の黒皮を削り落とした。
バイスにチャックして内部の3面をエンドミルで仕上げてから、前端を切り出して開放し、コの字の先端部分を仕上げる。しっかりチャックするため、つっかえ棒を入れている点に注意。
角ブッシュは、砲金丸棒から作る。前後分割となるが、個別に四面を仕上げて、瞬間接着剤で仮接合し、残りの2面をまとめて仕上げてから、軸穴を開ける。以後は加工の手順に応じて、分離・接着を繰り返す。瞬間接着剤は衝撃に弱いので、ハンマーで軽く叩くと分離する。残りカスはアセトンで溶かして取る。
側面の溝部分を加工する。クサビ用の斜面は、先月の角度ゲージを再利用して角度を出した。
ブッシュを締め付けるクサビは、平鋼から作る。クサビの斜面加工時も、角度ゲージを利用した。
ブッシュをロッド後部に組み込んだ状態。クサビは下からボルトで引かれ、上をダブルナットで固定される。
ロッドのスモールエンド側は、丸穴に砲金製の丸ブッシュで済ませた。ブッシュは圧入する。
完成した内側メインロッド。後部ブッシュの摺動面には、シリコンチューブを接続して給油する予定である。現時点では、油壺の位置に、ネジ穴だけ開けているが、穴はブッシュの内側まで貫通している。
第二動輪に組み込んで、なめらかに動くことを確認した。前端のクロスヘッドとスライドバーは未作成。