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2019年5月 「炭水車制動装置(2)」
ブレーキ梁の一部には、リンクを接続するためのブラケットを取り付ける。ブラケットは、鋼の帯板を切り出し、L型に曲げたものである。軸部分のU字はロータリーテーブルで加工した。ねじ止めだけでは固定が甘いので、角棒の断面で押さえて、加工中の回転を防止している。
ブレーキ梁6本のうち2本にブラケットを取り付ける。枕梁側にも同様のブラケットが付き、リンクで接続される。
リンクは、両端にピン穴を開けた、2枚組の帯板である。小さい部品だが、端部はロータリーテーブルでアール加工をした。
ブレーキハンガーの片側上端は、枕梁に取り付けられた、砲金鋳物のブラケットに接続される。以下にブラケットの加工手順を示す。
ブラケットは4個必要で、鋳造費節約のため、一体鋳造してもらった。
4個分まとめて四爪チャックし、裏面を仕上げる。まず鋳物の裏面をヤスリで擦って仮の平面を出し、それが主軸と垂直になるようにチャックする。
エンドミルで各ブラケットにスリットを切り、そのままドリルで固定穴を開ける。これも4個まとめて加工した。
ここで各ブラケットを切り離し、ピンを通す穴を開ける。穴はリーマで仕上げた。
ブラケットには、片面鋳物では形成できないにアンダーカットがあり、エンドミルで削り出す。ワンタッチで角度を出すため、バイスのジョーに、アルミ板の角度治具を両面テープで貼り付けて使用した。
ここで、枕梁への最後の加工として、軸動ポンプを取り付ける穴の周囲に、フランジを固定するためのネジ穴を開ける。穴の位置を基準にして加工するので、テコ式ダイヤルゲージを使って、穴の中心座標を求めた。
完成したブラケットを、枕梁にネジ止めする。反対側にはその前に作製した板金性のブラケットをネジ止めする。
制輪子下部のブレーキ梁2枚は、写真のリンクで接続される。以下、製作方法を紹介。
両端のフォーク形状の部品は、帯板を曲げたものである。いつものU字曲げ治具を使って曲げた。中間のスペーサー部品を変えて、ギャップを調整する。
フォーク部品に千鳥の穴を開ける。これは実物に倣った形状である。フライスステージの座標管理で穴位置を決めた。
ロータリーテーブルで、フォーク両端のアール加工をする。さきほどの千鳥の穴を利用して、治具に取り付け、位置決めしている。できあがったフォーク部品2枚を、丸棒の両端に銀ろう付けして完成となる。
各リンクを接続するためのピン(3種)をまとめて作成した。いずれも、S45C丸棒を段差加工して、割ピンを通すためのφ1.2穴を開けたもの。
今までの部品を組み上げて、台車の制動装置が完成となる。残念ながら、台車の外側からは、ほとんど見えない。
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