目次 / 前月 / 次月
2019年4月 「炭水車制動装置(1)」
炭水車には足踏み式のブレーキ装置を付ける。実機は車体中央に2台のエアシリンダーがあるが、模型ではその位置から車体前方までリンクで引き出して、フットペダルを設置する。各台車の制動装置と、駆動軸までの接続構造は、実物と同じ形状にする。
テンダー車輪の制輪子も、動輪用と同様にアルミ鋳物を利用した。こちらは車輪径が小さいので、車輪の円周と同じ配置で制輪子を6個並べて鋳造し、まとめて加工をする。
鋳物を三爪チャックして、表面と裏面を平行に仕上げる。爪を内側から外に広げてチャックしている点に注意。
以後の旋削には大型の面板を使うが、個々の制輪子を固定できるように、ネジ穴を開ける。ロータリーテーブルに面板を固定し、極座標管理でネジ穴を開けた。鋳物の軸穴は、2か所だけケガいて開け、ここで治具に取り付けて、残りの軸穴を開ける。
車輪のテーパーと制輪子のテーパーを合わせるため、ここで車輪のテーパーを計測してトップスライダーをセットしておく。写真のセットアップで、トップスライダーを動かしてもダイヤルゲージが動かなくなるように、トップスライダーの角度をセットする。
制輪子の断面は、車輪のコンタをそのまま写し取った形となる。動輪と同じであり、動輪の制輪子の加工に用いた自作カッターを、ここで再び利用する。
引き続き、トレッドのテーパー面を加工する。中繰りバイトをトップスライダーで動かして、車輪の角度を再現する。
エンドミルでハンガーを通すためのスリット加工をして完成となる。
テンダーのブレーキは、動輪用と違って、実運用で多用することになるので、摩耗時の交換を考えて、2セット分を作製した。
ブレーキハンガーは、レーザ加工の部品に、ドリルで軸穴を開けたものである。ドリルはこれもフライスステージのXY座標管理で開けた。
制輪子とブレーキハンガーを接続する。ピンではなく、ボルトとナットで締め付け、適度な固さで回転するように調整し、ナットを追加してロックする。これにより、制動時に制輪子の角度が決まり、弛緩時にはそれが保持され、制輪子が垂れ下がって車輪と擦れるのを防ぐ。
ブレーキ梁は、レーザー加工の平板に、ハンガーを接続する軸部品を銀ろう付けして作る。機関車本体のブレーキ梁と同じ構造である。まず平板をバイスでチャックして、座標管理で穴を開ける。
軸部品は、S45C丸棒を旋盤加工して、底部分に、平板を差し込むためのスリットを切ったものである。先端にはナットを入れるためのダイスを切って、さらに割ピンを入れるクロス穴を開けている。先にクロス穴を開けてからダイスを切る。
軸部品を平板の両端に差し込んで銀ろう付けする。部品をまとめて耐火煉瓦に立て掛けて、片側ずつ二度に分けて銀ろう付けした。(続)
C53のシリンダーブロック鋳物の製作記事が、英国Model Engineer誌4610号に掲載されました。
当サイトで公開していない情報として、寸法入りの木型図面を添付しました。
Click ⇒
目次 / 前月 / 次月