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2012年4月 「ボイラー組み立て」
ボイラーに取り付ける部品として、まず焚口戸を作製した。扉本体はステンレスのレーザーカット品である。ヒンジは煙室扉のヒンジと全く同じ構造にした。すなわち帯板の端部をまるめてブッシュとし、鉄リベットで扉に取り付けた。扉ロックのためのフックは、鋼材のレーザーカット部品を曲げたもの。扉にタップを立て、ボルトを締付け直前までねじ込み、裏からロックナットで固定する。
ボイラー全体は黒く塗装するが、その前にヒンジ用の台座およびフック掛けを取り付ける。バックヘッドのこの部分は銅板で裏打ちされており、タップを立てるだけの肉厚が確保されている。ボイラーへの加工をハンドドリルでやるのは不安だったので、写真のようにミニフライス盤をセットアップして、穴開けおよびタップ加工を実施した。
ボイラーに取り付けた状態。ヒンジ用の台座は真鍮角棒から作製。フック掛けは鋼帯板から作った。いずれもシール剤を塗って組み立てる。
煙室のシールは、かつてはアスベストが一般的だったが、今ではセラミックシート、耐火セメントなどが使われている(紙粘土でも何とかなるという話もある)。自分は耐久性と作業性を考えて、耐熱性のエポキシパテを用いることにした。米国製のレクターシールと呼ばれるもので、耐熱温度260〜430度、混練後20分で金属強度に達するという触れ込み。
煙室の前後妻板と側板、そして底板の継ぎ目をシールする。いささか硬化速度が早すぎて、作業が終わらないうちに固まってしまう。少量ずつ混ぜ合わせて少し塗っては次を混ぜるという作業を繰り返した。なお、分解時は床板ごと煙室を取り外すことができる。
煙室とボイラーは砲金のリングで接続されるが、ボイラーの真円度が悪く、リングとの間に隙間ができる。ここをパテで塞いで永久固定する。ボイラーを仮搭載した状態でリングを煙室に固定し、ボイラーとリングの境界にパテを詰める。
パテ接着だけだと固定強度に不安があるので、前端の周囲5ヶ所をネジで固定した。隙間を残したまま固定するため、リングとボイラーにまとめてタップを立て、ボイラー内側からネジをねじ込んだ。ネジ先端がフランジより外側に飛び出ると、煙室の穴を通らなくなるので、ネジは長さをぎりぎりに切断して使用した。
フィッティング部品の多くはOS製を使用するが、自作が必要なものとして蒸気ドームとレギュレータがある。蒸気ドームは火室の直上に位置し、そこに直接安全弁が取り付けられ、さらに操作用の蒸気を取り出す蒸気箱も兼ねている。砲金鋳物を準備してそこから加工した。まず外形を旋削で仕上げる。
ドーム上面の前後に安全弁用のM14穴、その右には注水栓用のM12穴を開ける。左には圧力計用のニップル(動輪舎製)を銀ロウ付け。後部側面には、OS製の通風弁、汽笛弁、インジェクター弁を取り付ける3穴を開ける。
注水栓は真鍮の部品を組み合わせて作成した。ネジ部の周囲に、Oリング用のポケットが形成されている。
レギュレータはウイリアムと同様のネジ式とした。本体外径20mmにするつもりでブッシュの穴を20mmにしたのだが、試しに20mmの丸棒を入れてみると、内火室のクラウンステイと干渉することが発覚! 図面を確認すると、ボイラー設計ミスであった。16mmであれば通るので、やむなく本体16mmに設計変更した。
レギュレータを分解した状態。ニードル弁の先端は鈍角にして、少ない開度で大量の蒸気を流せるようにした。ステムと弁体は別部品にしてはめ合い接続し、テーパーピンで固定した。ステムとハンドルは角穴で接続。ここは煙室扉の矢尻と同じ方法で加工した。
OS汽笛弁の分岐管は下向きに出ているが、配管の都合で右向きに変更しなければならない。ボタン部分を90度回せば良いのだが、これを固定しているセットビスが特殊サイズで、1.27mmの六角レンチが必要。ちなみにこのレンチは、楽器店でギターの保守用に売られている。
ボイラーとドームを塗装し、フィッティング部品を取り付ける。安全弁、水面計、逆止弁、バルブ類はOS製である。水面計が傾いているが、実機もそうなっている。この程度なら視認性に問題はない。
OSのフィッティング類は取付ネジがM7x0.75という特殊サイズで統一されており、このタップを入手しないと自分の機関車には取り付けられない。さらにロックナットは平径11mmでこれも薄型のレンチを入手しておいた方が良い。
ボイラーの設計上、注意しなければならないのは、フィッティング部品のほとんどが、全体を回転させないとボイラーにねじ込めないことである。部品が近接しすぎていると、部品が回転できずに組み立て不能になる。今回、組み立て時にこれに気づいてヒヤッとする瞬間が何度かあったが、幸いにして取り付け順序を工夫することで組み立て不能だけは免れた。
煙室管板のウェットヘッダーすなわち蒸気の取り出し口は、真鍮丸棒から作った。8mmの銅管で左右のシリンダーに接続される。ボイラーとの接続部は、ウイリアムと同様にOリングシールにした。蒸気管内部、ボイラー内部、外気の3者を遮断するために、Oリングは軸方向と径方向の両方をつぶす設計にした。
ボイラーを搭載して接続した状態。ボルトは煙室前からレンチを入れて締めるので、銅管でネジ穴が隠れないような配置にしている。
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