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2013年4月 「シェイとCK124」
久々の更新になってしまったが、今回は、台湾に来て出会った動態保存機のレポートをお届けしたい。阿里山シェイとCK124(C12)である。レポートが大幅に遅れてしまったのは、ひとえに私の怠慢によるものである。
【阿里山シェイ】
台湾にシェイがいることは知っていたが、せいぜい静態保存機が1~2輌だろうと思っていた。しかし実際は、動態保存機が3輌、静態保存機が13輌もいるのだった。ただし動態保存機の定期運用はない。
2012年の12月、阿里山森林鉄道100周年記念で、阿里山のふもとの嘉義から、中間駅の竹崎まで、蒸機列車が運転された。乗車はできなかったが、嘉義の機関区を往復するシェイの姿を堪能することができた。阿里山森林鉄道は、台湾西部から、台湾の最高峰に近い阿里山に至る森林鉄道で、世界三大山岳鉄道に選ばれている。軌間762mmのナローゲージである。今は木材運搬はしておらず、観光鉄道となっている。現在は、台風の被害で一部区間が不通となっている。
見学は、台湾駐在のライブスチーマーである加納氏に同行いただき、いろいろとお世話になった。氏は以前より台湾で動態保存機を追い求めているが、今回ほど恵まれた機会は、滅多にないとのことである。
今回運転された25号機。朝9時に嘉義機関庫に到着した時には、すでに蒸気上げが完了していた。
シェイでは、あまり見ることのない公式側の姿。こちら側にはシリンダーがなく、のっぺりとしているが、その分スマートに見える。炭庫の側板が、キャブ屋根の高さまで延長されているのが、阿里山シェイの特徴である。
お約束のシリンダーのアップ。25号機は3シリンダーである。阿里山には、2シリンダーのシェイもある。
イベント列車は、アメリカ調の木造列車で仕立てられていた。デッキの扉もなく、森林鉄道らしい車輌であった。
こちらは機関庫内に静態保存されている13号機。2シリンダー機であり、25号機よりひとまわり小さい。嘉義機関庫は、敷地内が公園になっており、自由に見学することができる。
嘉義駅を出た列車は、嘉義機関庫を通り抜け、写真の北門駅に入る。駅舎は、日本の木造駅舎と酷似している。ここに限らず、台湾の鉄道は日本の統治時代に発展したので、日本のスタイルが踏襲されている。
本日の運行を終えて嘉義機関庫に戻り、26号機とご対面。26号機も動態保存機である。
YouTubeに動画をアップしたので、ご覧ください →
【CK124】
台湾で最も活躍している動態保存機である。本拠地の彰化機関庫を中心に各地に駆り出されているが、三義駅を起点とする旧山線での活躍が多い。今回も旧山線での撮影。3月に、游さんから運転情報を得て、やっと見ることができた。この日も、加納氏といっしょに撮影。
台湾の西部幹線は、途中から山線と海線に分岐して、台中あたりで再び合流している。山線のうち最大の難所である三義~后里間は、1998年にトンネルを中心とする新線に置き換えられた。旧線は一時廃線となったが、鉄道遺産が多く、一部が観光路線として復活した。それが旧山線である。中間駅の勝興駅が観光の中心地で、游さんのホームレイアウトもここにある。
CK124は日本のC12をベースとしているが、デフレクターとカウキャッチャーにより、一種独特な雰囲気がある。サイドタンクがなければC56のようにも見える。写真は逆進の状態での撮影のため、尾灯が付けられている。
勝興駅に到着した列車。乗客のみならず、車で訪れた観光客も混じっての人だかりで、まともに撮影できず。台湾でもSL列車は大人気のようである。
サイドタンクに給水中。タイヤ側面は磨き出しで、ランボードのバランスは黄色に塗られている。
游さんは、駅から少し離れた敷地で営業運転をしていた。現在、新たな運転場を検討中とのこと。
こちらは最後尾のDL補機。本来は赤い塗装だが、客車に合わせて、目立たぬように青く塗り替えられている。
旧山線の名所、三連続トンネル。前方からの列車撮影に適したポイントだが、当然ながら危険であり、列車通過時刻には係員が見張っていた。
鯉魚潭橋梁を渡るCK124。ここが穴場の撮影ポイントらしい。
こちらも動画をアップしました →
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