2001年9月 「???」
今はシリンダーブロックを削っているが、報告するほどの進捗がないので、少し脱線してみる。
【C53プラモ】
サイドロッド製作で気を使う作業が続いて疲れ果てたので、息抜きのためアリイのC53プラモを作った。1/50のディスプレイモデルであり、モーターライズが宿命の鉄道模型と違って、下回りはほとんど実物どおりの構造になっている。もちろん3シリンダーも表現されており、中央ロッドはちゃんと可動する。このプラモは数十年前に大滝製作所が発売したものをアリイが引き取って売っているものだが、当時のHOをはるかにしのぐ細密度であり、画期的なモデルであったに違いない。逆に、作る側からすると組みにくく、金型が古いせいかバリも多く、さらに部品の精度や構造からいって、そのまま組んでもまともに動くものではない。部品を見て説明書を読んだだけで、ため息が出てきた。
せっかくの3シリンダーが動かないのではおもしろくないので、かなり強引な方法で可動にした。まず接着剤生乾きの状態で付属の線路上を転がしてむりやり位相を合わせ、さらにサイドロッドの穴を一部長穴化し、各部に注油しながらレール上を何度も動かしてなじませた。何とかスムーズに動くようにはなったが、動輪の面ブレがひどい状態である。あとから考えると、もっと良い方法があったように思う。さらに先台車が脱線するので軸穴を削って疑似3点支持にし、従台車ともども、中心ピンの遊びを増やした。一方のテンダーは中心ピン固定であり、こちらも生乾きの状態で線路上で調整した。上回りは素組みのままとしたが、配管パーツはバリ取りが大変で位置決め穴もなく、水平垂直をそろえて付けるのに苦労した。一部破損した配管は真鍮線で置き換えた。やっているうちにだんだん嫌になってきて、さっさと片付けてライブに戻りたいと思うようになった。半月以上費やしてようやく完成したが、なかなか見ばえが良く、苦労しただけのことはある。息抜きのつもりが息抜きにならなかったが。
【WILLIAMのCG】
WILLIAMのデザインは今でもチョコチョコ変えているのだが、立体的に確認しないとよくわからないと思っていた。さらにキャブ内の操作系の配置など、三面図を書いただけではよくわからない。そこでCGでWILLIAMを描くことを考えた。CG付きCADは高くて買えないので、安価で多機能なCGソフトであるShadeを使い、AutoCADの図面をここに取り込んで部品を描くことにした。ShadeにはCADで使われるDXFフォーマットのデータを読み込む機能があるが、二次元データの三次元化、曲線データの変換方法などにコツがいる。具体的には正面図と側面図の掃引体をブーリアン演算で組み合わせるということをしないといけない。最初はトライ&エラーで苦しんだが、慣れると次々と部品を作れるようになった。設計した部品を立体化して組み合わせていくというプロセスは模型製作そのものだが、こちらはホイホイできあがる夢のような世界である。実は半年前からこれを始め、設計の終わった部品をCG化しては本体に組み付けていた。細かい部分はまだだが、全体像はつかめるようになった。
やはり平面図とかなりイメージが違う。車幅を拡げたせいでボイラーが細く見え、前半はデッキとランボードの広さがめだち、後半はキャブが重たく見える。操作性を考えて後部を大きく切り取ったはいいが、これでは側板の強度がもたないし、第一格好が悪い。ドームは少し細すぎるようである。いまさら変えられないもの、変える気にならないもの、どうしようか迷ってしまうものなど、立体化したおかげで、ますます悩みが増えることになった。
バルブギアなどCGにすると見事なもので、いろいろ角度を変えてながめるだけで楽しめる。しかしCGで楽しんだ分、実際の部品を組み立てて形になったときの感動が薄れてしまうことに気づいた。どうせCGのようにきっちり仕上がるわけがないし・・・
当初はCGアニメーションまで考えていたが、時間がもったいないのでやめた。
(終)