1999年6月 「フランジプレート設計」


缶胴に続いて、ボイラーの妻板となるフランジプレート類を作製する。
その名の通りフランジ加工(3月度の管板模型参照)をする。
私のボイラーはミリサイズ煙管の使用を前提にしているので、
元の設計そのままでは不都合があり、わずかに修正が必要である。

ところで、漏れのないボイラーを作るためには、接合部のすき間を0.1mm以下に抑えなければならないが、
そのためには、フランジプレートの外形は機械加工仕上げが好ましく、
さらにその形状は、折り目のないなめらかな曲線が良い。この条件を満たすために、

(1)外形は直線と円弧の組み合わせとし、型板加工、フランジ仕上げとも、
 回転テーブルとフライス盤で加工できるようにする。

(2)円弧の継ぎ目では、接線(法線)が重なるようにして、折り目を作らない。

この前提で、CADで設計をした(下図)。

profile

フランジプレートは板金加工なので型板が必要で、銅板を切り出す前にこの型板を作らないといけない。
型板の形状がそのまま仕上がりに転写されるので、精度良く作る必要がある。
一般にプレートそのものより型板の製作の方が時間がかかる。
英国ではフランジ加工まで済ませたプレート類が機種別に売られているらしい。

型板の材料は以下のようなものがある。

 (1)桜、樫などの堅い木
 (2)堅い木と薄い鉄板を張り合わせたもの
 (3)厚い鉄板

手持ちの材料の関係もあり、最も耐久性のある(3)を使うことにした。加工が大変だが…

flanged plates型板が必要なフランジプレートは、ボイラー前より、

 @煙室管板(Smokebox Tubeplate)
 Aのど板(Throatplate)
 B内火室管板(Innerbox Tubeplate)
 C内火室後板(Innerbox Backplate)
 D外火室後板(Backhead)

の順番になる(右図を参照)。
このうち、AとDが3mm厚で、他は2.5mm厚である。

型板はAとD、BとCがそれぞれ共有できるので、全部で3枚となる。
このうち@は単純な円形なので、旋盤で簡単に加工できる。

他の2枚については、フライス盤でエンドミル加工となるが、
そのためには外形を形成するそれぞれの円弧の中心を回転テーブルの中心に合わせないといけない。
しかしこれだけの芯出しをいちいちやるのは大変であり、治具を考えた。

治具といっても、単なる鋼板に、型板固定穴と、それぞれの円弧の中心穴を開けただけのもの。
回転テーブル中心軸にこの穴を入れて固定し、テーブルを回しながらエンドミル加工する。
なお、円弧の中心が型板上に来るものは、直接型板に中心穴を開ける。

下図はその鋼板(ベース板)の設計図である。

starplate

●1枚のベース板で、外火室型板と内火室型板の両方に対応している。
●ベース板だけ裏返せば、ひとつの穴で、左右対称なふたつの円弧を削ることが出来る。
●中心穴は合計6個あり、そのうち3個は型板の固定穴を兼ねている。
●型板上の穴には座繰りを入れて、固定ネジの頭が出ないようにする。これは、
 型板の上に板金したフランジプレートをかぶせ、再びこの治具を使って
 フランジ外形仕上までできるようにするためである。

ということで、設計に手間取ったため、今月はこれで終わり。

【梅小路訪問】

6月始めに梅小路蒸気機関車館に行って来た。実は、梅小路を訪ねるのは今回が初めて。
写真は、構内運転の"スチーム号"を牽いている8630(形式8620)である。

8630

今月はC62 2が牽引する予定だったらしいが、C62 2は機関庫の片隅で改修中だった。
2号機はC62の中でもハズレであり、調子が上がらないという話も聞く。

8630は、ふたつのドームの間に鐘がついており、発車前にカランコロンと鳴る。
九州の「あそBOY」にでも付けたほうが似合いそう。

客車はトロッコだが、これでは遊園地の電車のようである。
1両編成でも良いから、旧型客車でも牽いてほしいところ。

運転の最後に、転車台で必要以上にぐるぐる回り、機関車の説明アナウンスが流れる。
少し興ざめ。

と言いつつも、カメラ片手に走り回っていた私であった。
お目当てのC51とC53もファインダーに収めたし。



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