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2020年12月 「外ボイラー組み立て」


缶胴を筒状に継ぎ合わせたところで、整形して真円化する。缶胴をぎりぎり通過する型板を作り、プラハンマーで叩きながらこれを貫通させると、ほぼ真円となる。継板の部分に切り欠きを入れている点に注意。




缶胴の両端を旋削して全長を出す。心押しのドリルチャックで把持した丸棒を円盤に通して芯出ししている。



ドームフランジの取付穴は巨大なので、手作業で穴を開ける。まず穴の輪郭をけがくが、普通にコンパスでけがくと、曲面のため、真上から見て前後に長い楕円になってしまう。これを補正するため、中心を誤差分だけ左右に分けてけがき、左右それぞれ半円ずつ位置をずらしてけがいた。厳密には円にならないが、真円との誤差はヤスリ仕上げの誤差範囲内に収まる。具体的には、φ159mmの缶胴にφ46mmの円をけがく場合、中心を左右に0.5mm離してけがくと、真上から見て縦横の直径が等しくなる。


ケガキ線に沿ってセンターポンチを打ち、ドリルで連続穴を開ける。この時点では、穴は缶胴に垂直つまり缶胴の中心に向かって開けている。



糸鋸で切り取るが、柄があると邪魔なので、クランプ用のブロックのみを取り付けて切り取った。ドリル穴間の壁厚さは0.2mmしかないので、これでも難なく切り取れる。この後、ヤスリで円形に削るが、その際は断面がドーム中心線と平行になるように修正する。



ここで砲金の円盤からドームフランジを作るが、缶胴挿入部の外径は、穴の直径を実測して決める。穴の直径を45度きざみで測定し、最大値に合わせる。



フランジ周囲のネジ穴は、例によって極座標をXY座標に変換して開けた。ステージを0.01mm単位でセットし、センタードリルから開始して開ける。フランジができたら、再び缶胴の穴側をヤスリで削りながら、隙間なく押し込めるように仕上げる。



缶胴のその他の穴として、小径の逆止弁穴はドリルで、中サイズの安全弁ブッシュ、蒸気箱ブッシュの穴はホールソーで開けた。ホールソーは刃が厚肉のタイプが比較的真円度の良い穴を開けられる。




ここで砲金丸棒から安全弁ブッシュ、蒸気箱ブッシュを作る。ホールソーの穴の仕上がりに応じて、挿入部の直径を決める。写真は反転して置いた状態だが、フランジ部分が厚い方が安全弁ブッシュで、実機のスケールに合わせて安全弁位置を嵩上げする必要があるので、このような形状になっている。段差部分の左右に見える線は真鍮線から作ったピンで、缶胴に挿入した際に曲面への設置から生じる左右のガタを消すために入れた。ドームフランジについても、同じ方法で左右のガタを解消している。



外ボイラーの各パーツができたところで、仮組みしていく。まず前後の缶胴の組み立て。太い方(火室側)をヤゲン台に固定し、細い方(煙室側)を挿入して固定し、リベット固定用の2mmの穴を開け、M2のビスとナットで仮止めする。



続いて、外火室天板を仮止めする。左右の裾をクランプした状態で穴を貫通させてビスとナットで仮止め。



喉板は穴開け面が不安定なので、まず単独で穴を開けてから缶胴に移し開けた。そのままだとドリルチャックが喉板前面に当たってしまうので、ドリルをピンバイスで延長した。




外火室天板と側板は、裏から幅12mmの帯板で接続される。その帯板をまず天板側に取り付ける。ここは銀ロウ付け時にリベット固定となる。



外火室側板を、さきほどの帯板および喉板のフランジ部分に取り付ける。ここは最終組み立てで取り付ける箇所なので、リベットではなく真鍮ビス固定とする。



天板に外火室後板を取り付ける。外火室後板をクランプしているが、 天板がステージと平行になるように、アングルバイスで外火室後板を斜めに保持している。



側板後端の穴を外火室後板に移し開ける。ここも最終的にビスで固定するので、タップを立てる。



すべての部品を仮止めして、側板の後端を外火室後板にビス固定すれば、外ボイラーの組み立てが完了となる。



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