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2021年5月 「ボイラー銀ロウ付け(5)」


今回が最終の銀ロウ付け作業となる(修復を除く)。連休を利用して、3日連続で作業を行った。


サイドステイはまず、内火室に単独で付ける。外からねじ込み、内火室の中に銀ロウの輪を置いてフラックスを塗り、外側から加熱して、ロウが外側に流れ出すことを確認する。左右2回に分けて実施した。



内外ボイラーを組み合わせ、側板で接続する。全体から外火室後板と煙室管板だけ外した状態になる。写真では見えないが、ボイラーの先端に水平に板を差し込んで、煙管の先端を保持し、煙管の垂れ下がりを防止している。



クラウンステイと、外火室天板のアングルを銀ロウ付けで接続する。クラウンステイの両面、全長に渡って1mmの銀ロウを置き、外側から加熱するのだが、通常のバーナーで炎を吹き込むと酸欠で失火してしまうので、プロパン酸素バーナーを使用した。



いったん側板を外して酸洗いし、側板と外火室後板を取り付け、方向を変えながら火室周囲を順次、銀ロウ付けして行く。まず左側の側板から。左サイドステイの外側、側板の上端と天板の接続部、そして側板固定ネジの周囲に銀ロウを流す。このあたりから熱容量が大きくなるので、新たに手配した75mmの火口を使用した。



75mmの火口を使っても、全部の銀ロウを流すのに10分もかかった。期待したほどの効果がなく、右側のロウ付けは60mm火口に戻して実施したが、加熱時間はほとんど変わらなかった。75mmの火口は、炎の拡散が大きすぎて、熱量のロスが多いのだろう。ガスの消費量だけは多く、メリットがないので、以後は60mmの火口で作業を進めた。



喉板と側板の接続部、そしてフロントステイにロウを流す。ここは面積が狭いせいか、5分程度でロウ付けが完了した。




内火室後板の周辺、焚口、そしてバックステイに銀ロウを流す。ここが最も時間を要して、銀ロウを全部流すのに15分程度もかかった。フラックスの有効時間を越えており、途中で火を止めてフラックスを追加した。保温なしのプロパン作業だと限界に近い。



外火室と底枠の間に銀ロウを流す。加熱してロウを流しながらぐるっと1周して、全体でほぼ10分で完了した。先に内火室側を付けていたので、予想していたほど大変ではなかった。




ここまで来ると、銀ロウ付け後の冷却に非常に時間がかかる。自然冷却だと、室温まで冷やすのに1時間以上が必要で、それだと作業効率が落ちるので、扇風機で強制冷却をした。効果はてきめんで、冷却時間を3分の1ほどまで短縮できた。



底枠に膨張受けをネジ止めし、銀ロウ付けする。付ける部品は小さいのだが、底枠の熱容量が大きいので、意外に時間を要した。



最後に煙室管板を付ける。管板の周囲、ロングステイ、ホローステイ、そして煙管をまとめて付ける。煙管は、入口から5センチ程度の深さのところにセラミックシートを詰めて、それより内側を断熱しておく。



最後に酸洗いをして全体を目視検査したが、外火室後板の右肩部分に、銀ロウの隙間が見える部分があり、今のうちに追加で銀ロウを流しておくことにした。局所的な加熱なので、作業は5分以内に終了した。


銀ロウ付けの全作業が終了した。この時点で時間がなくなり、漏れテストは持ち帰って実施することにした。以後は次回報告する。

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