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2021年12月 「煙室(3)」


煙室戸ハンドルの矢尻を通すカンヌキは、フラットバーの中心に長穴を開けただけのもの。写真は、煙室前板を裏から見たところで、裏面左右にカンヌキを引っ掛けるための鋼製のフックが固定されている。さらにカンヌキの左右の位置決めのため、フックに真鍮アングルの部品を追加した。



煙室戸に固定する蝶番の帯板は、7mmの角棒から削り出した。加工中の保持のため上下2枚分をまとめて平鋼にハンダ付けした。まずエンドミルで板部分を厚さ1.8mmまで削り込む。続いて軸受部分に回転軸を通す4mmの穴を開ける。



板部分と軸受部分のアールは、ロータリテーブルで加工した。ここまでやってハンダを溶解して部品を取り、リベット固定用の穴を開けて、先端のアールを仕上げた。ここもロータリーテーブルを使用した。




加工が完了した蝶番帯板。ここで一度焼鈍処理をしておく。



帯板を蝶番に組み込み、ハンドルで固定した煙室戸に沿わせて整形し、クランプする。この状態で帯板の穴を煙室戸に移し開ける。



鉄リベットで、帯板を煙室戸に固定する。リベットは表から通して裏をつぶしたが、表のヘッドがつぶれないように、銅板をアンビルとして使った。




煙室戸のハンドレールを保持するハンドレールノブは、真鍮丸棒から作った。煙室戸用は3本だが、側面ハンドレール用は10本以上必要なので、治具を用いて量産できる手順を考えた。以下、詳細を示す。



まず先端の球部分を削る姿バイト作り、先端を削り出す。姿バイトは、工具鋼の丸棒を輪切りにした円盤を加工し、熱処理して研磨したものである。続いて首のテーパー部分を削るが、テーパー削りではなく、突っ切りバイトで0.1mmの段差加工をして、精密ヤスリでテーパーに仕上げた。




これを全長で突っ切り、反転して全体を真鍮の自作コレットでチャックし、根元側の段差加工をしてダイスでネジを切る。



最後に先端の球部分に横穴を開ける。写真のような穴開け治具を用意し、首に傷を付けずに保持できるようにした。



煙室戸のハンドレールは、4mmの鋼丸棒を焼鈍し、型板に沿って曲げて作った。型板は10%のスプリングバックを想定して設計したが、ほぼ望みどおりの結果になった。片側を曲げたら、中央のハンドレールノブを通してから、反対側を曲げる。



ハンドレールノブを取り付ける穴は、湾曲した煙室戸の面に垂直に開けなければならない。角度を計算して正確に保持して開けた。ハンドレールノブは、裏面からナットで固定する。



煙室中心の丸ハンドルには、ハンドルを締め付けるための延長棒が付くが、棒の根元が丸ハンドルのリムに巻き付いた形状をしている。2.5mmのステンレス線を焼鈍し、写真のような治具を用いて曲げた。根元のフック部分を丸ハンドルに引掛け、先端をかしめて固定した。



煙室戸と前板を組み上げた状態。ナンバープレート作製は先送りにしたが、プレートを固定するための4本の支柱だけ取り付けた。



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