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2022年2月 「煙室(5)」
まず煙突の鋳物から加工を開始。おおよそのセンターを出して四爪チャックし、頂上を仕上げ、ヤトイで保持できるようにφ40mmにボーリングする。
ヤトイで両センター保持して根元側を四爪チャックで保持する。爪を均等に閉めないとセンターがずれるので注意が必要である。この状態でまず外周の上半分を仕上げ、ヤトイだけ抜いて入口のテーパーを仕上げる。
反転して、同様にヤトイと四爪チャックで保持し、根元側の外周を加工する。ここでバイトによるネジ切りを実施。
煙突の加工が終了。
続いて台座を加工する。これも最初にトップを仕上げてφ40mmにボーリングし、反転してヤトイで芯を出し、固定のための段差加工をする。ここで裾の外周も仕上げておく。
さきほどの段差部分に円盤を入れてプレートに固定し、フライカッターで裾を仕上げる。フライカッターは、中繰りバイトをツールポストごと四爪チャックしたものである。
再びヤトイで芯出しをして四爪チャックし、穴を最終径に拡大して一次加工は終了。この時点で上面は鋳肌のままである。
煙突と台座を組み合わせて銀ロウ付けする。
ヤトイを利用して旋盤でチャックし、煙突と台座の継ぎ目部分を旋削で仕上げ、裾の部分は回転を止めてヤスリで鞍形状に仕上げる。ここだけは機械加工をすることができない。
仕上がった煙突と台座を煙室の穴に入れ、固定用のビスナットを通す穴を開ける。実際は固定が目的ではなく、単なるディテール工作である。
煙室内部から煙突の下にねじ込むペチコートを加工する。まず底を仕上げて内周をφ40mmにボーリングし、反転して、ヤトイで芯を出し、煙室内部に固定するリングとなる部分を突っ切る。リングはのちほど加工する。
残った部分に、煙突をねじ込むためのめねじを切る加工をするが、その前に、ねじ切りバイトの刃先を逃がすための溝を掘る。ここで先月自作した「内径溝入れバイト」を使う。
反転してヤトイで芯出しし、裾の内外周を加工する。入口は末広がりの曲面となるので、0.1mm単位のステップで削り、ヤスリで仕上げた。これにてペチコートは完成。
ペチコートから切り出したリングに、煙室内部に取り付けるための曲面を削る。先ほどの台座と逆に凸になるので、アングルと円盤を用いて面板の端に縦に固定し、バイトで外周切削をして削る。円盤は真鍮製で境界が見えないが、実際はリングと円盤に分かれている。最後に内径を仕上げて完成。
リングは、ネジ2本で煙室の内側に固定され、ペチコートは下から煙突にねじ込まれる。リングは、煙室とペチコートに挟まれた状態となり、両者の隙間を塞ぐ役目をする。
煙室の外観が完成。内部の配管は、ボイラー搭載後に製作する。
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