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2025年1月 「フロントデッキ(1)」
C53のフロントデッキは、グレズリー式弁装置が納められた特殊な形状をしている。初期型は下段の正面が1枚板になっていたが、のちに後期型に合わせて四分割引上式に改造されており、改造後の姿を再現することにした。ちなみに梅小路の45号機(写真)は、改造前の姿に戻っている。
階段状の垂れ板は実機では溶接で組み立てられているようだが、これを形状の基準にするため、レーザ加工の一体パーツとした。
垂れ板に固定用のネジ穴を開ける。ネジは裏から入れて、表面をツライチに削って痕跡を消す予定。
下段と上段の床板には網目板を使用した。糸鋸で切り出し、必要な穴開けをする。
斜面部分の骨組みとして鈍角のアングル材が必要だが、真鍮板を鈍角に曲げるため、ハードメイプル材から鈍角の型板を作製した。デジタル水準器でアングルバイスを所定角度にセットし、ここに角材を挟んでエンドミルで加工した。
真鍮板を焼鈍し、型板を用いて鈍角アングルを作る。プラハンマーで叩いて整形した。
鈍角アングルは合計で5本必要。これも必要な穴開けを実施する。
下回りから前端梁を取り外し、フロントデッキその他の部品を取り付けるための穴開け加工を実施した。
真鍮平角棒を加工して、引上板を仕切る柱を作る。4枚の引上板を支える柱は5本で、中央の柱のみ左右分割となっている。
ここまでの部品を組み上げた状態。直角部分の突き合わせには真鍮アングルを追加している。
斜め部分にはグレズリー弁装置の点検蓋が付くが、実機と同じようにヒンジを付けて蓋を開放できるようにする。ヒンジには、ドールハウス用に真鍮製ヒンジを利用した。スリーブ部分が四分割されていたので、切り詰めて三分割とした。左写真の左が元の形で、右上が切断品で、右下はそれに固定穴を追加したものである。固定穴は右写真のような治具を用意して開けた。
点検蓋はレーザ加工品で、ステップを組み込むための窓が開いている。ヒンジを用いて写真のように取り付けた。前の柱の間には、真鍮板の引上板を挿入した。
引上板と点検蓋に取り付ける取手は、ロストワックスで作成した。鋳造コストを下げるため4個分まとめて1部品とする。ワックス型をモデラで両面切削し、鋳造依頼した。同じような取手を油箱その他にも使用するので、サイズ2種類で量産した。
糸鋸で切り離してヤスリで仕上げ、取り付け穴を開ける。右は引上板に取り付けた状態。
(続)
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