1998年11月 「運転初体験」


前田先生からの紹介で、同じく自宅に1番ゲージレイアウトを敷いている木村氏宅を訪問。
現在は5インチゲージ中心とのことで、大型の工作機械や組立中の蒸機、電機を見せてもらった。
驚いたのは、良質の石炭を求めて、英国から石炭を1トン輸入したという話。
ここでもやはり大型のものを勧められる。
この頃より、3インチ半以上のライブスチームを始める決心を固める。

【公設レイアウト】

0-4-0サファイア木村氏が岡山ブルーライン(自動車専用道路)にある、"一本松ミニ鉄道公園"でライブスチームを走らせると聞き、見に行く。ここには遊戯施設の一部として、一周300mほどの固定レイアウトがあり、ふだんは営業で、バッテリー機の運転をしているが、ライブスチーム愛好家数名が、時々ボランティアで運転を行っている。
後日、同じくライブ愛好家の曽我部氏の手ほどきで、5インチ0-4-0タンクロコ(写真)の終日運転をさせてもらった。運転の難しさと楽しさを痛感する。

【ライブスチームの運転@】

〜 運転前に蒸気上げが必要ですが、まだあまり経験してないので、またの機会に説明します 〜

基本的には加減弁(レギュレータ)を開けば走り、閉じれば止まるので、動かすことは簡単。
あと、停止中は通風弁(ブロアー)を少し開け、強制排気をかける。
運転中はブラスト(シリンダー排気)により通風されるので、閉じておく。
周回を1周運転させてもらうだけならこれで充分で、「RCヘリなんかに比べりゃ、チョロいもんじゃ〜」となるが、
連続運転となると話は別。

連続運転では、ボイラーの状態維持が難しい。
石炭はあらかじめ焚き口にぎりぎり通るくらいの大きさに割っておき、一定の火力が保持できるように、こまめに一個ずつ投炭する。
燃えカスが入り口付近にたまりやすいので、ときどき棒でかきまわしてやる。
走らせているうちに、石炭の消費量がおおよそわかるようになる。
気温、機関車の調子、牽引重量により変わるのは当然。

運転中は圧力計に注意。
圧力計が2kg/cm2以下にさがってしまうと、運転はおろか、自分で圧力を回復することもできなくなる。
停車のたびに安全弁が吹くまで圧を上げておけば安心だが(約5kg/cm2)、客扱いだとそうもしてられない。
走りながらこまめに投炭して、良い燃焼状態を維持するしかない。
問題は、石炭が不足してから圧がさがるまでにタイムラグがあること。
圧も高く調子がよいと、ついつい投炭をさぼってしまうが、しばらくすると急に圧がさがり始め、あわてて投炭しても手遅れで、周回途中で立ち往生してしまう。私も数回経験しました。
慣れないうちは、詰め込めるだけ詰め込むくらいのつもりで、ちょうどよい。
石炭の節約など考えない方がよい。
お客さんをのせて立ち往生するほどみっともないものはないので要注意。
(子連れの若奥さまの冷たい視線が...)

あと、水面計に注意し、給水量は、軸動ポンプのリターンバルブで調整する。
水タンクの残量もときどきチェックする。水の消費量は意外に多い。
やかんで湯をわかしているのとはわけがちがい、あっという間になくなる。
空だきは危険です

日本で手に入る"太平洋炭"は品質が悪いらしい。
火力が弱いうえ、ススがやたら出て煙管が詰まり、1日の運転で何回も煙管掃除しないといけないらしい。
英国の"ウェルズ炭"がベストで、火力が強いうえにススが出ない。
さびしいくらいに煙が出ないので、太平洋炭をまぜて「臭い付け」する。
私は幸いにしてウェルズ炭での運転しか経験がないが、太平洋炭で1日運転すると、顔が真っ黒になるらしい。
ちなみに日本の蒸機が黒いのは、ススによる汚れが目立たないようにするためで、
英国の蒸機などはカラフルで、地下鉄にまで使われていたそうです。



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