2017年4月 「先台車改造(1)」
今月は工作の進捗がないので、設計だけの報告である。
サイドロッドの曲線通過テストをした際、同時にシリンダーの尻棒と先台車の干渉テストも行った。その結果、尻棒の根元のブッシュが先輪と干渉することが分かった。これを防ぐには、先台車の横動を減らさなければならない。具体的には、左右15mmずつを左右11mmずつに減らす。その分、動輪と従台車に負担がかかるが、それは逆に問題ないことが確認できた。
さて先台車であるが、実機ではエコノミー式復元装置が使われている。しかしそれだと横動15mmの確保が難しいという理由で、模型ではバネ式復元装置を採用したのだった。ここで横動11mmで良いというのであれば、当初希望したエコノミー式復元装置を採用することができる。
以下にエコノミー式復元装置の構造を示す。上の水色のユニットがボルスターで軸が固定、下の黒い部分が台車の揺枕で、左右に動く。間のピンク色の部品が揺駒と呼ばれる部品で、台車が変位すると、揺駒が左右に傾いて四股を踏むような動作をする。揺駒の右肩の曲線は、揺駒の左足を中心とした弧であり、逆に左肩の曲線は、右足を中心とした弧になっている。これにより、揺駒がどちらに傾いても、その頂点の高さは常に一定となる。揺駒の頂部とボルスターはリンク(黄色)で接続されていて、揺駒は滑らずに転がるようになっている。
ボルスターの底は斜面になっており、この傾斜により復元力が働く。1/3の斜面になっているので、軸重の1/3の復元力が働く計算である。復元力は台車の変位によらず一定となる。リンクの軸の位置は、適当で良いわけではない。変位に合わせて、揺駒とボルスターが滑ることなく転がらなければならない。CADで繰り返し作図することにより、最適な軸位置を求めることができる。
さて、ライブスチームにおける実績を見聞きする限りでは、下手な復元力強化は脱線の原因となるようである。ということで、復元力は1/5に留めておくことにした。ボルスターの傾斜を1/3から1/5に変更する。
以下、設計した形状を示す。詳細は製作時にレポートする。