2017年5月 「外側メインロッド」
復元装置の鋳物が揃わないので、先にメインロッドを開始した。サイドロッドと同様、レーザー加工でシルエットだけ切り出した材料を使用する。サイドロッドはS45Cだったが、今回はSS400を使用した。
写真で長い方が外側メインロッドで、短い方が内側メインロッドである。四角い枠状の部品は内側メインロッドのビッグエンド用(組立式)で、コの字に加工して使用する。まず外側メインロッドから加工した。
ビッグエンドのブッシュは角型であり、ブッシュが収まる穴は角穴になる。ここは、1.5mmの仕上げしろを残して、レーザー加工で角穴にカットしており、これをエンドミルで仕上げる。
実機はスモールエンド側も変形ブッシュだが、クロスヘッドに隠れて見えないので丸ブッシュで代用する。旋盤にバーティカルスライダーを付けて穴を開けた。
サイドロッドと同様に、アングル2台に平板の治具を取り付け、ここにロッドを固定してエンドミルで加工する。まずサイドの中間くびれ部を加工した。全長が400mmもあり、フライスのステージ移動量360mmで、くびれ部をぎりぎり削ることができた。
フルートもサイドロッドと同様に加工する。これもエッジを丸めたカッターで、両端をテーパーに仕上げる。実機は両面にフルートがあるが、外から見える外側のみ加工した。ちなみに赤いボタンは、自動送りのリミットスイッチである。
レーザー加工面を回転砥石で仕上げる。
角ブッシュは砲金丸棒から作る。まず旋盤の四爪チャックで六面取りをする。
センターをマーキングして芯出しし、軸穴とその周囲のリム形状を削り出す。こちら側が表になる。
ブッシュは角穴の外側からはめ込み、前端を上からクサビで締め付けて固定する構造である。外側のツバ部分と前端の斜め部分をエンドミルで段差加工する。前端は、クサビと接する1:5の斜面で、角度を出すために、写真のゲージを作った。これをバイスの底に入れて、角ブッシュの角度を出し、前端を斜めに加工する。
コーナーのアールはロータリーテーブルで加工した。裏面にアール中心をマーキングし、主軸にチャックしたセンターをロータリーテーブルと芯出ししたのち、センターと加工物を芯出ししてテーブルに固定する。
裏面のリムを加工する。簡単に芯出しするため、ヤトイを作った。
角ブッシュ完成。手前が表向き、奥が裏向きで、それぞれ左が前である。
こちらが平鋼から加工したクサビ。締め付けのためのM3のネジ穴が開いている。ここのアールも、ロータリーテーブルで削った。斜面はさきほどのゲージを利用して加工する。
ビッグエンドの組み立て。クサビは、下からボルトで引かれ、ボルト先端はダブルナットでロックされる。サイドロッドと同様に、トップに油壺が取り付けられている。
こちらはスモールエンドで、丸ブッシュを圧入。その後ろの円盤とボルトはダミーである。
外側メインロッド完成。