目次 / 前月 / 次月

2020年3月 「炭水車下まわり完成」



制動装置のロッド類のフォーク部品は、いつものように治具を用いて、帯板を曲げて作る。厚さ2mmで、幅が8mmと10mmの二種類の帯板を使用した。焼鈍してまずL型に曲げ、治具にセットしてコの字型に曲げる。



曲げたフォークの端部は、ロータリーテーブルでアール加工して仕上げる。先に軸穴を開け、ここをロータリーテーブルのセンター位置にねじ止めして加工する。加工中の回り止めとして、中心ネジとは別に、左にサポートネジを立てている。



完成したフォークは、丸棒の軸に銀ロウ付けされる。両端にフォークのあるロッド以外に、片側にネジを切った、調整スリーブ用の短いものが2種。ネジは、M4の正ネジと逆ネジを切ってあり、加工には逆ネジ用のダイスも必要。



調整スリーブは、10mm丸棒の両端に、M4の正逆のネジ穴を開けたものである。両端から別のネジを貫通させるので、ネジ先端を逃がすための長穴を開ける。材料を切断する前に、エンドミルで加工をする。



調整スリーブの両端に旋盤でネジ穴を開ける、正ネジ用と逆ネジ用の2種のタップが必要。



エンドミルで窓枠を削り込む。ここだけ厚さを8mmにしてレンチで保持できるようにするためである。



左の写真は完成した調整スリーブとロックナット。2個のロックナットは、右が既製品で、左が六角棒から自作した逆ネジナット。右の写真は、調整スリーブとフォークを組み立てた状態で、ロックナットを緩めて調整スリーブだけを回すと、リンクが伸び縮みする。




こちらはリンクを接続するピン類で、いつものように丸棒を段差加工して、割ピン用のクロス穴を開けたものである。今回、材料はすべてSUS303を使用した。



調整スリーブの両端は、八の字の釣合梁に接続されている。2枚の釣合梁はレーザー加工品に穴を開けたもの。八の字の裾側はそれぞれ2台の台車のブレーキ梁を引いている。八の字の先端側の片方は台枠に固定されており、もう片方はブレーキペダルまで接続される。




釣合梁を台枠に取り付けるブラケットの位置は、実機の図面をもとに決めたが、それだと位置が不適切で、釣合梁のハの字が前後非対称になることが判明した。全体を作図し直して、ブラケット位置を4mmほどずらす必要が生じたので、ブラケット固定板を作り替えて対応した。左が古いもので右が作り替えたもの。ネジ穴の位置が微妙にずれている点に注意。その下の部品がブラケットである。



ブレーキを解放した時にペダルを上に引き戻す復元バネを作る。約1kgの力で引くように強度計算して、太さ0.9mmのステンレスバネ線を、外径6mm強で巻いた。引きバネなので、密着して巻く。



バネは両端の輪を起こして固定できるようにした。実機にもバネが設置されているが、実機は両端にバネ固定用のフックが取り付けられている。ここでは省略した。



復元バネの先端は、中央制動軸の小アームの先端穴に接続される。小アームにはもうひとつ穴があり、昨年末に作製したリンクを介して釣合梁に接続される。



復元バネの後端は、リンクブラケットの固定板にねじ止めされている。



前制動軸と中央制動軸はアームを介してリンクで接続される。アームの角度が決まったところで、セットビス先端を押し込むためのくぼみを掘る。これをやらないと、ペダルを踏んだ時にアームが空回りしてしまう。




中央制動軸のレバー2枚で長い方が力点で短い方(隠れている)が作用点になる。これにより制動力が増幅される。



炭水車下まわりが完成した。試運転をするためには、車輪を車軸に接着する必要があるが、その前に塗装をしなければならない。


目次 / 前月 / 次月