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2023年7月 「炭水車下まわり塗装」
試運転に向けて炭水車の下まわりの追加工を行ったが、その前に塗装をしているので、塗装、改造の順番で紹介する。
塗装前に一点、修正を行った。現状では、ブレーキシューが自由に回転するため、解放状態で車輪に寄りかかってこすれた状態となる。シューとハンガーの間に真鍮のワッシャを入れて摩擦を与え、制動状態からシューの傾きを維持し、解放状態でシューが車輪に当たらないようにした。摩擦はナットの締め付けで調整し、ダブルナットで固定する。
使用した塗料は、本体と同様、デイトナの2液混合ウレタンスプレー「耐ガソリンペイント・半ツヤ黒」である。下処理は、サンドペーパーによるサビ・汚れ落とし、アセトン拭きによる脱脂を実施した。部品の全方向から吹き付けるため、ターンテーブルに載せて塗装をした。小さな部品は金網に並べて塗装する。まず裏面を塗装し、乾燥したら反転して表を塗装する。
車輪は適当にマスキングをしてスポーク部分に塗装をし、旋盤でタイヤを磨き出して境界部分を綺麗に仕上げる。
ヤトイと回転止めピンで車輪を半固定し、ボス部分を磨き出す。使用済みの木型にサンドペーパーを貼り、これを心押しでボスに押し付けて磨いた。完成後に車輪と車軸をロックタイト648で接着した。
フレームは可動部品以外を全部取り付けた状態でまとめて塗装をした。これだと塗膜の厚さによる組み立て誤差を考えなくて良いが、もし分解の必要が生じた場合は、部分的な塗装の補修が必要となる。
前台車(軸動ポンプ付)を汲み上げた状態。真鍮製の軸動ポンプは未塗装とした。
車輪にタコ糸を巻き付け、重石を載せて静摩擦トルクを測定したところ、0.14Nmであった。これに対して、0.5MPaのボイラーに給水するのに必要なトルクが0.61Nmであり、その半分まではいかないが無視できない量である。運転士が炭水車の後方に着座して前端のステップに足を掛けて前かがみになると、重心はほぼ炭水車の中央となる。計算上はスリップすることはないが、あまり余裕はない。
下回り全体を組み上げた。ここから更に改造を施した。
ステップは運搬時に取り外しが可能だが、ブレーキペダルの出っ張り部分が外せなければ意味がない。そこでブレーキペダルの先端を取り外し可能に改造した。写真左が改造前で右が改造後である。
機関車本体と炭水車はドローバーで接続される。機関車が半径7.5メートルのS字を通過するには、ドローバーを受ける前端梁の窓の横幅が足りないことがわかったので、取り外して追加工を行った。
左写真は前端梁の背後に取り付けられている前鋳物を裏から見たところ。この上に底板が取り付けられてポケットを形成する。ドローバーは機関車側に常時取り付けられた状態で、連結時は炭水車のポケットのV字でセンタリングされ、上から写真右のドローバーピンを落として連結する。V字のセンタリングを正確にするため、金属パテでV字を肉盛りした。
塗装の補修が必要となったが、それは炭水車の完成まで待つ。
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