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2024年7月 「ドームカバー」



ドームカバーは、直径が130mmもあり、軽量化のためアルミ合金の鋳物とした。いつものようにモデラで木型を作製した。現型と、内部を抜くための中子型を用意する。いずれも前後分割としている。



モデラで木型用のケミカルウッドを削っているところ。モデラで削れる高さを越えているため、スライスした状態のものを削り出し、あとで接着して木型とした。



非鉄金属を鋳造している鋳造所に依頼して、アルミ合金で鋳造してもらった。材質はAC4Cである。




ドームカバーの鋳肌は全て削り落とす前提としている。まず上面を旋盤で加工する。チャックは、四爪チャックで内周を把持している。曲面はいつものように座標を計算して細かいステップで削り、ヤスリで仕上げた。裾野部分は鞍型となるため、前後の裾を仕上げると、左右は削り残しとなる。ここで中心の固定穴も開けておく。



着座面を機械加工するにあたり、ドームカバーの外周を基準として固定するための木製のヤトイを準備した。材料はハードメイプルである。まずこの作成方法について紹介する。



外形をバンドソーで切り出してドリルで固定穴を開け、間に平鋼を挟んで旋盤の面板に固定し、センターを出す。この状態で木型の外形を面板にマーカーペンでトレースし、いったんばらして中央穴の部分をバンドソーで切り出し、再び面板にセットアップして中繰りバイトで仕上げた。




写真のように、横送り台にアングルと平鋼を取り付けて木製ヤトイをセットアップし、ここにドームカバーを固定して、着座面を仕上げる。加工物のサイズが大きいため、横送り台から左に大きくオーバーハングさせたセットアップとせざるを得ない。アングル、平鋼いずれも大型の材料を使って剛性を高めた。



フライカッターとして、中繰りバイトをツールホルダーごと四爪チャックして使用した。切削半径はボイラーカバーの半径となり、ベッド上の振りを越えいるので、ベッドの手前のギャップ部分を利用して振り回している。このためドームカバーの横移動距離が稼げず、旋盤ヘッドに近い側の半円だけ削って、途中でドームカバーを180度反転して、反対側を削った。



最後に左右裾の表側をヤスリで仕上げる。ここでは三爪チャックで内周を把持しているが、旋盤を作業台として使っているだけで、回転はさせない。裾の肉厚が1mm以下になるようにヤスリで削り、サンドペーパーで仕上げた。



ドームカバーは蒸気ドームにボルトで固定されるが、実機の袋ナットに似せるため、M4の六角穴付きボルトを追加工した。使用したのは黒染めの鉄ボルトで、焼鈍をしてから加工した。



蒸気ドーム先端のスプリングポケットは、ドームカバーと現物合わせで長さを仕上げ、先端にM4のネジ穴を開ける。



ドームカバーを取り付けた状態。裾は隙間なくボイラーカバーに密着している。



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