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2025年6月 「各種改造」


今月は、前回の試運転の結果、あるいは設計上の都合から、改造を実施した部分について報告する。


試運転で水面計ドレンコックからの水漏れがあり、対策としてOリングおよびナイロンワッシャによるシールを行った。以下、詳細を示す。



ドレンコックのテーパー軸の根元部分に溝を入れ、ここにOリングを入れる。溝入れは、総計バイトから作った幅0.6mmの突っ切りバイトを使用した。テーパー軸を三爪チャックするため、真鍮でコレットを作った。ドレンコックの先端側はナイロンワッシャでシールする。写真は、個別の部品と組み上げた状態を示す。これをドレン弁本体に組み込む。





シリンダードレン弁の操作レバーはスケールどおりとしていたが、操作するうえで強度に不安があり、スケールアップを実施した。まず回転軸を4mmから5mmにサイズアップするため、軸受の穴を拡大する。写真はドリル貫通後にリーマを通しているところ。ハンドリーマは手回しで通す。



レバー用に新たにサイズアップしたアームは、レーザ加工で用意した。車体左側のアームは上下を別部品としていたが、改造後は一体構造にした。材料を焼鈍して、曲げ加工を実施する。万力2台でストレート部分をチャックし、アール部分をフリーにして所定角度まで曲げる。




曲げたアームにブッシュを銀ロウ付けする。写真上が今回新たに準備した左側アームで、写真下が改造前のもの。



アームと軸の固定は、セットビスでは簡単にすべってしまうので、テーパーピンを打ちこむことにした。テーパーピンリーマーで穴を加工するが、シャフトをバイスにチャックし、アームをバイスに機械的に固定した状態で、両者同時に穴を仕上げた。写真は、右側アームを加工しているところ。アーム先端がステージと干渉しないように、バイスを斜めにセットしている。



左右のアームを本体に組み込んだ状態。左側の上のアームは運転室からのリーチロッドで操作され、下向きのアームは軸を通して左右同時に動く。横から見ると非常に目立つが、最終的には黒く塗装するので目立たなくなる。




現状ではボイラー覆いを取り付たままで、蒸気分配箱を着脱することができない。これでは整備性が悪いので、ボイラー覆いを付けたままで分配箱をねじ込めるように、ボイラー覆いの後端上部を切り取ることにした。まずボイラー覆いの芯となるアルミのU字フレームの頂部をエンドミルで削り取る。この部分には、ドンキーポンプのための給油器を取り付ける予定であり、そのためのネジ穴加工も実施する。




U字フレームを取り付け、後端上部を切り取ったボイラー覆いを取り付ける。写真は分配箱を途中までねじ込んだ状態である。ボイラー覆いと干渉することなく、所定の高さまでねじ込むことができるようになった。





試運転では安全弁を外してボイラーに注水していたが、蒸気分配箱に専用の注水口を設けることにした。分配箱上面の適当な位置に、プラグをねじ込むネジ穴を開ける。



プラグはハンスレット用と全く同じ構造である。Oリングで上下面がシールされるが、Oリング用の溝を形成するのに、外周押さえを別部品として作り、銀ロウ付けで密閉した。




蒸気ドーム内の加減弁本体から過熱管までの配管は、銅管にネジを切ってねじ込んでいたが、ネジ山がつぶれそうになっていたので、真鍮丸棒から作り直した。写真下が新規品である。ヘッド側の形状も、スリ割りを入れてドライバーで回すのではなく、六角にしてレンチで回すようにした。六角を削り出すにあたっては、反対側に六角棒を固定してスコヤで角度を出してインデクス加工をした。





ボイラー覆いに固定するブラケット類は、M3のビスとナットで固定されているが、ナットをボイラー覆いの裏面にハンダ付けして、外からビスだけ外せるようにした。ナットの位置決めをするため、実際にブラケットを固定してナットにだけハンダを流すが、これを実現するため、アルミ製のネジを手配した。アルミはそのままではハンダが付かないので、ナットだけ固定することができる。ナットは黒クロメートの裏面を剥がして使用した。



ボイラーの熱によりボイラー覆いも高温になるので、高温ハンダを使用した。ナットの黒クロメートが熱で飛んで鉄生地が露出している。



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