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2025年9月 「煙室・ボイラー塗装」
今後の組立順序だが、パイピング等でボイラー覆いに取り付ける部品が多数あり、その都度、ボイラー覆いに穴開け加工をしなければならないが、そうすると、いつまで経ってもボイラーを本体に搭載できなくなる。そこで、ボイラーに取り付ける部品の設計をすべて済ませ、取付穴をまとめて加工し、ボイラーと煙室を塗装して、最終搭載してしまうことにした。ボイラー搭載後に取り外せなくなるダミー火室、灰箱もここで塗装する。
パイピングを固定するブラケットをすべて設計し、ボイラー覆いにブラケットを取付けるネジ穴を開ける。ちなみに穴位置のマーキングは、軸方向については、ボイラー覆いの前端または後端からの距離をハイトゲージでけがき、円周方向については、最寄の四半円線からデバイダーで弦の距離を取ってけがいた。

実機のボイラー覆いの稜線にはリベット列があり、銅リベットを埋め込んで表現した。フライス盤のステージにリベットヘッドを受ける台座を固定し、ヘッドにチャックした丸棒でプレスして銅リベットをつぶした。

ランボード上の砂箱は、自然滴下の油箱として利用する。左右それぞれ3系列ずつ砂マキ栓があるが、このうち左の3系列を使って、注油のしにくい中央ロッドの前後、そしてブレーキシリンダーに注油する。注油は走行中に少しずつ垂らすのではなく、走行前に必要量をすべて流し切る前提である。中央ロッド前後は、写真のような注油ブロックでピンポイント滴下する。制式写真撮影位置すなわち、公式側のクランクピンが動輪軸の真下に来た状態で最適位置に注油できるように設計した。

中央ロッドの後端にはブッシュ上にネジ穴が開いており、ここに写真のような注油用の漏斗を取り付ける。


塗料は引き続き半艶黒のウレタンスプレーを使用。鋼板以外の材料については、下地処理としてミッチャクロンを吹いた。ダミー火室と灰箱は赤茶色のサビ止めスプレーで塗装した。塗装前の処理は、いつものようにサンドペーパーでサビと汚れを除去し、アセトンで拭き、塗装直前にエアブローでホコリを飛ばした。

まず煙室とボイラー覆いから塗装を開始。丸棒に通し、60度くらいずつ回しながら全周に塗装をした。三度塗りを実施。

ボイラー覆いに取り付けるブラケット類を塗装した。網の上に並べ、ターンテーブルで回しながら四方向から塗装する。まず裏を二度塗りし、乾燥させて表を二度塗りした。

ボイラーは缶胴をマスキングして火室部分のみ塗装した。バックヘッドの各ブッシュは丸く切った紙シールを貼ってマスキングした。

ハンドレールノブとネジ類の頭は、段ボールに刺して塗装した。
銅管のうち汽笛管とブレーキ管の露出部は、冷却防止のためアルミの耐熱テープを巻いた。テープの片面に接着剤が付いており、巻くだけで密着するようになっている。この後にミッチャクロンを吹いてから黒く塗装する。

灰箱とダミー火室は、ミッチャクロンを吹いてから、さび止めの茶色で塗装した。灰箱と火室の色については、現役時代は黒く塗装されていたという話があるようだが、模型ではワンポイントとなるので敢えて茶色にした次第である。同様に空気作用管も黒ではなく磨き出す予定である。

サビ止めスプレーは、ウレタン塗料と違って密着力が弱いので、遠赤外線ヒーターで焼き付けを行った。このヒーターは、ウイリアムの製作時に焼き付け塗料を使うために用意したものである。

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